7月の星空

(星図は7月15日午後8時30分頃の様子です)

7月の星空
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うっとうしい梅雨の季節ですね.梅雨入りしてしばらくは雨が少なかったのですが,6月の終わり頃から雨の日が多くなりました.なかなかすっきり晴れる夜もなく,毎晩雲の多い夜空を恨めしく眺めています.

その梅雨も今月末までには明けるでしょう.そして楽しみな夏休みもやってきます.気をとりなおして,今月も元気に星を見にでかけましょう!

北斗七星は西に傾き,頭上には勇者ヘルクレス*1が君臨しています.南の空にはさそり座がその大きな姿を見せていて,その心臓アンタレスが不気味な赤い光を放っています.

7月の行事と言えば「七夕(たなばた)」.主役のおりひめ星*2(こと座ベガ)は東の空やや北よりに,ひこ星(わし座アルタイル)は同じく東の空やや南よりに見えています.おりひめ星の左下にははくちょう座デネブも見えます.そう,「夏の大三角」ですね.

七夕のお話では,織女(しょくじょ)牽牛(けんぎゅう)は7月7日の夜,雨が降ると天の川の水かさが増して逢うことができなくなってしまうわけですが,そんなとき,どこからともなく「かささぎ」という鳥が現われ,天の川に橋をかけて二人を逢わせてくれるというお話もあります.そこで,このはくちょう座を「かささぎ」に見立てると,丁度二人の仲をとりもってくれているようでちょっと嬉しくなりますよ(もっとも,このはくちょう座,よくよく見ると“織女牽牛の間に首をつっこんでいる”とか“織女牽牛の仲にくちばしをはさんでいる”というように見えなくもないんですが...).

ところで,この“7月7日”という日は日本ではほとんどの地方が“梅雨まっ盛り”です.しかも,統計的にこの日は「雨の特異日」と言って雨の降る割合がとても高い日なのです.

ではなぜこの日が七夕の日になってしまったのでしょう?

本来,七夕の行事は旧暦の7月7日だったのです.現在使われている暦と旧暦では1月程ずれていますので,旧暦の7月7日は梅雨が明けてすぐ,天候が安定している頃になるわけです.ですから,旧暦が使われている頃は晴れる割合が高く,織女牽牛が逢える確率も高かったということになります.でも,見方を変えれば現代では織女牽牛が逢えるチャンスは旧暦と新暦の2回あるということになり,この二人も喜んでいるかもしれませんね.

今年,旧暦の七夕は8月19日にあたります.さて,今年の七夕はどんな天気になるのでしょうか...

Y-Nakagawa

*1 もともとこの英雄の名前はギリシャ神話中では“Πρακληζ”で「ヘクレス」に近い発音のようですが,星座の名前としてはこれのラテン語表記である“Hercules”が用いられ,「ヘクレス」と発音されることが多いようです.
*2 一般的には七夕の主役といえば“おりひめ”と“ひこぼし”とよばれますが,“おりひめ”とは織り(ひめ)すなわち“(はた)を織る女性”という意味で,それに対して“ひこ”は“彦”すなわち“男性”という意味ですから,こだわる人は“機を織る女性の星”と“男性の星”という意味で“おりひめ星”と“ひこ星”と呼びましょう.

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Last-modified: 2014-12-27 (土) 13:33:32