(星図は5月15日午後8時30分頃の様子です)
若葉が薫る季節になってきました.日中はまだ暑くもなく,夜も寒くもなく,一年中で一番すごしやすい季節かもしれませんね.
今月は日が暮れたらまず西の空を見てみましょう.とても明るい星が目につくはずです.6月9日に東方最大離角となる金星*1です.夕焼け空の中でひときわ明るく輝く美しい姿はまさにヴィーナス.是非一度見てみてください.
私たちの目を楽しませてくれた人気者「土星」の見ごろはいよいよ今月いっぱいというところでしょうか.今年はどうも上空の気流が安定しないようで,なかなかキリッと締まった姿にお目にかかれません.それでも1週間に一度くらい(?)はとても素晴らしい姿を見せてくれますので,見たことのある人もない人も,今月中に何度かチャンスを見つけてしっかり見ておきましょう.
頭の上やや北よりには北斗七星が見えています.そしてひしゃくの柄の部分のカーブをずっと伸ばしていけばうしかい座の1等星アークトゥルスが,もっと伸ばせばおとめ座のスピカがみつかります.この大きな大きなカーブを「春の大曲線」とよび,春の星座めぐりの目印にします.
ここであまり有名ではないけれどわかりやすく,面白い星座,「からす座」と「かんむり座」を紹介しましょう.
おとめ座の南にいびつな四角形の星の並びを探してみましょう.4つとも暗い星なのですが,探してみれば意外にも簡単に見つかり,一度見つけると結構印象に残る星座です(ちなみにこれを書いている筆者は居眠りをしている時に夢で見たことがあります).この四角形の星の並びが「からす座」です.人間の言葉を話せるりこうなカラスでしたが,うそをついた罰として,言葉を奪われ,空にさらしものにされたのがからす座です.このカラス,先に昇ってくるコップ座にいつまでたっても追い付けず,いくら喉が渇いていてもコップの水を飲むことができないのです.
もう一つの「かんむり座」ですが,こちらはうしかい座の東,今の季節ならアークトゥルスの左下に,半分より少し回った小ぶりなカーブを描く星の並びが見えるはずです.この星の並びを見つけたら,その方向に向かって腕をまっすぐ伸ばしてみましょう.片目をつぶってこぶしが星のカーブの真ん中にくるようにして見てみてください.どうです?星たちが腕に巻き付いて見えるでしょう?この星座,神話の上ではディオニソス(お酒の神様でバッカスと同一)に妻として迎えられたクレタの王女アリアドネの冠なのですが,こうして見るとかんむり座というよりブレスレット座というところでしょうか...