4月の星空

(星図は4月15日午後8時30分頃の様子です)

4月の星空
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新年度がはじまりました.桜をはじめ,色とりどりの花が咲く季節でもあり,1年中で一番華やかに感じる季節でもありますね.ところが,夜空の方は星座の王様オリオン座をはじめとする華やかな冬の星座たちが西に去り,春霞でなんとなく眠たい空で,ちょっとさびしい季節です.でも,望遠鏡を使えば,1年中で最も遠くまで見通せる(実はこの季節だけ天の川が見えないのです.そのおかげで,近くに障害物が少なく,はるか数千万光年の宇宙を見ることができるのです)季節なのです.もう寒さを我慢しなくても星を眺められますから,今月も元気に星を見にでかけましょう!

日が暮れたら頭の真上をよく見てみましょう.「」マークを逆向きにしたような星の並びを見つけられますか?この星の並びを「ししの大鎌」と呼び,ちょうどしし座のたてがみにあたります.今年はこのししの大鎌の近くには土星も見えていて,いつもの年に比べるとなんとなく賑やかです.

しし座から東側が春の星座です.しし座の北側には見つけやすい「北斗七星」があります.北斗七星おおぐま座の一部ですが,機会があったら是非おおぐま座全体を探してみてください.きっとその大きさに感動しますよ.

かみのけ座の散開星団Mel.111

今度はちょっと目立たない星座も探してみましょう.北斗七星の柄のはじっこの星(アルカイド)と,柄をのばしていって見つかる明るい星,うしかい座アークトゥルスを線でむすび,それを底辺としてちょっとくずした2等辺三角形の頂点あたりをよく見てみましょう.暗い星が集まって見えるはずです.これはMel.111(メロット111番,写真)とよばれる散開星団なのですが,実はこれそのものがかみのけ座(正しくは「ベレニケのかみのけ座*1)なのです.暗い星々が「ふわっ」と集まった感じが女性の髪の毛を連想させたのではないかと言われています.Mel.111は肉眼でも見えますが,双眼鏡で眺めると視野いっぱいに星が散らばっていて,その美しさは時間のたつのを忘れさせてくれます.是非一度試してみてください.

2007年3月17日の土星

文字通りの大スター,土星が早い時間でもだいぶ高く昇るようになってきました.春霞でやや眠たいような空になってしまうことが多いこの季節ですが,冬に比べて上空の気流が安定しますから,望遠鏡で見た土星の姿は実はこれからの方が「きりっ」と締まって見えます.土星程の明るさがあればやや薄もやがかかっているような夜でも充分見え,実はそんな天気の日の方が細かい所まで良くみえたりすることもあります.望遠鏡で拡大して見る時は,上空の気流の具合が強く影響しますから,チャンスがあれば何度も見てみてください.うまく気流が安定している時に見ることができれば,環の外側にある細くて黒い筋,「カッシーニの隙間」や,環に写る土星本体の影等も見ることができ,美しく,そして興味深い姿を堪能することができます.

Y-Nakagawa

*1 星座の学問上の名前「学名」では“Coma Berenices”「ベレニケ(紀元前3世紀頃の実在の人物)のかみのけ座」です.

添付ファイル: fileApr.jpg 45件 [詳細] fileMel111.jpg 37件 [詳細]

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Last-modified: 2014-12-27 (土) 13:33:39