(星図は2月15日午後8時頃の様子です)
早いもので,年が明けてからひと月がたってしまいました.今年は暖冬で寒さもそれほど厳しくありませんが,風邪などひいていませんか?
2月といえば,「冬真っ盛り!」という気がしますが,毎晩星を見ていると実はそうでもないんです.1月の寒さは身を切るようでとても厳しい(今年はそれほどでもありませんでしたが)のですが,2月に入るとなんとなく空気がやわらかく感じます.そして,どこからともなく土のにおいがして,「もうすぐ春がやってくるんだなぁ」と感じます(花粉症がひどい筆者はちょっと複雑な気分でもありますが...).
日が暮れたらすぐ空を見てみましょう.とっても明るい星が輝いていませんか?宵の明星,金星です.金星はこれから6月9日の東方最大離角*1に向けて夕空の中でどんどん高度を上げて行きます.そして7月の末頃まで「最も明るい星」として夕方の西の空に君臨することになります.
金星を見つけたら,その右下を注意深く探してみてください.今年の2月上旬くらいまでなら,水星がみつかるはずです.こちらは2月8日に東方最大離角となりますが,伝令神“ヘルメス”の異名のごとく目まぐるしくその位置をかえ,あっと言う間に太陽の近くに行ってしまいますから,チャンスはわずかの間だけです.あのチコ・ブラーエは生涯見ることができなかったといいますから,この貴重なチャンスに是非見ておくことをお勧めします.
空が充分暗くなったら,今度は
よく見るともっとたくさん明るい星がありますね.オリオン座のリゲル,おうし座のアルデバラン,ぎょしゃ座のカペラ,ふたご座のポルックス,全部一等星です.ベテルギウスを中心にしてこれらの一等星を線で結ぶと大きな六角形ができあがります.これを「冬のダイヤモンド」なんて呼ぶこともあります.実はこれに(二等星ですが)オリオン座の右上のやや明るい星(ベテルギウスは左上),ベラトリクスを加えて,アルデバランから反時計回りに線で結び,ベテルギウスで終わるようにすると大きな「G」の字が出来上がります.これを「冬のグレート“G”」なんて呼んだりすることもあるんですよ.
東の空に目を向けると春の星座たちが顔を出してきています.その先陣を切るようにしし座が元気に駆け上がってきています*3.そのしし座の心臓,一等星のレグルスの近くには人気者土星も輝いています.環をもった,“あの”星です.まだ望遠鏡で見たことのない方,是非見てください.きっと感動しますよ.「写真は本当だったんだなぁ」って.
北の空に目を向けると北斗七星が見えます.この北斗七星,実は春の星座おおぐま座の一部です.真冬の間も休まず星を見続けていると,この北斗七星が北の空高く上がってくるようになると「(寒さも)もう少しの辛抱!」と感じます.星座で季節の移り変わりを感じるようになると夜空が本当に身近に感じて,星を見るのがもっと楽しくなりますよ(中毒も重症だといわれたりもしますが...).