2013年11月の夜空†
今月の一番星は何?†
日没は、茨城付近では、午後4時45分頃から午後4時半頃となります。
今月の一番星も、南西の超低空の金星(−4等)、宵の明星です。日没直後の西の空、夕空のまだ明るい中に、ひとつポツンと、しかし、明るく輝く姿は、まさに一番星という風情です。空が暗くなるのと同時にどんどん明るさを増し、夕焼けのなくなるころには、まばゆく、ぎらぎらと輝いて、街中でも南西側が開けているところでは、はっきりとわかるかもしれません。ただし、気がつくのと同時に高度を下げ、あっという間に沈んでしまうでしょう。
空が澄んで夕焼けがきれいになってくる季節です。晴れて夕焼けが見えたら、誰が最初にみつけられるか、ぜひ、みんなで挑戦してみてください。
夕空の見時†
日没直後の南西の低空に金星(−4等)があります。夕焼けの中の金星は、周りの明るさや色のグラデーションの変化のなかで、どんどん表情を変えていき、非常にまぶしく輝き出します。日没直後の金星の高度は、今月までほとんど変わりません。季節の移り変わりの中で、夕焼けと金星の作り出す景色がどう変わっていくか、定点観察するのも、面白いかもしれません。
6日(水)には、この金星の右に三日月(月齢3.0)が近づき、翌7日(木)には、この月が月齢4.0となって金星の上に来ます。
三日月と満月†
三日月は6日(水)、半月(上弦)は10日(日)5日〜9日は、西空に三日月形の月が見られます。満月は18日(月)です。
今月の惑星†
- 金星(−4等)は、日没直後の南西の低空にあり、12月中旬まで、日没直後の高度は、ほとんど同じ10度程を保ちます。日没後は、すぐに沈んでしまいます。
- 木星(−2等)が、午後9時ごろに昇ってきて、東の空にまばゆく輝きます。
- 午前1時過ぎには、火星(2等)が昇ってきて、未明の東の空に輝きます。
- 10月には日没後の西の空、非常に低いところにあった土星(1等)は、太陽の向こう側を回り、下旬には日の出直前の東の超低空に姿を現します。
- 21日(木)夜中に、木星に月齢18.0の月が接近、26日(火)の日の出直前の東の超低空で火星に水星が離角25分まで接近し、28日(木)には、日の出直前の南東の低空で火星に月齢25.0の月が接近して火星の右下に来ます。また、30日(土)の日の出直前の南東の低空で、スピカに月齢27.0の月が接近します。
見やすい星座†
午後8時頃には、夏の大三角形が西に傾き、南の空は、急に寂しくなります。
秋の南天の星座は、一等星がみなみのうお座のフォーマルハウトの一つしかなく、目立たない星ばかりです。
一方、北側には有名なカシオペヤ座が昇ってきて、これだけが、わかりやすい星の並びでしょうか。
この、星の並びから、天頂に秋の四辺形(ペガスス座)を見つけ、みなみのうお座の一等星、フォーマルハウトと、くじら座の2等星デネブ・カイトス(ディフダ)を見つけ、という風に秋の星座をたどれます。
自分に慣れた星図を使って、寂しい夜空に秋の星座を浮かび上がらせてみてください。全体に暗い星が多いので、月のない夜に行うのがよいでしょう。
今月の彗星†
ISON彗星(C/2012 S1)が明け方の東の空で見えるようになるかもしれません。肉眼で見えるようになるかは微妙ですが、双眼鏡では見えるようになると思います。火星のすぐ近くにあるので、それを目印に探してみてください。なお、11月25日(月)頃以降、12月 5日(日)頃までは、太陽に近づき過ぎ、見ることができなくなってしまいます。しかし、太陽を通過したあと、彗星が大変化するかもしれません。それに期待しましょう。また、逆に、太陽に近づきすぎて、破壊されてしまうという説もあります。
なお、太陽のコロナを観測する探査機が何機か宇宙に上がっています。特にNASAとESAにより共同運用されているSOHO(Solar Heliospheric Observatry)衛星のコロナ観測機器 LASCO C3 による画像では、彗星が写ることがあります。27日(水)午後4時ごろ〜12月1日(日)午前9時ごろに、この画像内にISON彗星が入ります。(SOHO Hotshots、および、COMET C/2012 S1 (ISON): when will it fade out?の、trajapp2012s1b.jpgより) 太陽に最も近づくのは、11月3日までの観測データによると(MPEC 2013-V07 : OBSERVATIONS AND ORBITS OF COMETS)、日本時間29日(金)03:36 です。このときには、この画像の太陽を覆う覆いの中まで入っていき、太陽の表面から太陽直径分のところまで近づきます。ここまで太陽に近づいて、一体、どんな変化を見せるのか、ぜひ、確認してみましょう。(右の画像は、2004年4月18日06:54UTCのLASCO C3 画像。ブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)が写っています。今回のISON彗星は、もっと太陽に近づき、この画像の太陽を覆う覆いの中まで彗星が入ります。Courtesy of SOHO/LASCO consortium. SOHO is a project of international cooperation between ESA and NASA.)
天文現象と関連行事†
- 11月 1日(金) ISON彗星(C/2012 S1)が明け方の東の空で6等よりも明るくなる予想
- 11月 3日(日)新月
- 11月 6日(水)三日月
- 11月 6日(水)日の入り直後の南西の低空で、金星に三日月(月齢3.0)が接近(金星の右に月)
- 11月 7日(木)13:14 ソユーズTMA-11M打上げ(38/39次長期滞在宇宙飛行士 若田宇宙飛行士搭乗)(ライブ中継 JAXA channel(YouTube) JAXA-LIVE(Ustream) )
- 11月 7日(木)日の入り直後の南西の低空で、金星に月齢4.0の月が接近(金星の上に月)
- 11月 9日(土)〜10日(日)サイエンスアゴラ2013
- 11月10日(日)上弦
- 11月12日(火)十日夜(とおかんや)
- 11月16日(土)城里町ふれあいの里星空観望会
- 11月18日(月)満月
- 11月18日(月)MAVEN(Mars Atmosphere and Volatile EvolutioN)打上げ
- 11月21日(木)夜中の東の空で、木星に月齢18.0の月が接近
- 11月25日(月)〜12月 5日(日)ISON彗星(C/2012 S1)が太陽に近づき過ぎコマが見えなくなる。(SOHO LASCO C3 画像なら見えるかも)
- 11月26日(火)下弦
- 11月26日(火)日の出直前の東の超低空で、土星に水星が接近(離角25分)
- 11月27日(水)16時ごろ SOHO LASCO C3 画像にISON彗星が写り始める。(SOHO Hotshots)
- 11月28日(木)未明の南東の空で、火星に月齢25.0の月が接近(火星の右下に月)
- 11月29日(金)03:36 ISON彗星(C/2012 S1)が近日点通過 (MPEC 2013-V07 : OBSERVATIONS AND ORBITS OF COMETS)
- 11月30日(土)明け方の南東の低空で、スピカに月齢27.0の月が接近
ちなみに12月は、
- 12月 1日(日)日の出直前の東の超低空で、土星、水星、月齢28.0の月がならぶ
- 12月 1日(日)9時ごろ SOHO LASCO C3 画像からISON彗星が抜ける。(SOHO Hotshots)
- 12月 2日(月)日の出直前の東の極超低空で、水星に月齢29.0の月が接近(日の出時に水星食となる)
- 12月 3日(火)新月
- 12月 5日(木)頃 ISON彗星(C/2012 S1)が、日の出直前の東の超低空に見え始める
- 12月 5日(木)三日月
- 12月 5日(木)日の入直後の南西の低空で金星に月齢2.5の三日月が接近、金星の右に月が来る
- 12月 6日(金)日の入直後の南西の低空で金星に月齢3.5の月が接近、金星の上に月が来る
- 12月10日(火)上弦
- 12月14日(土)〜15日(日)ふたご座流星群極大(月齢19)
- 12月16日(月)頃 ISON彗星(C/2012 S1)が、周極星となり夕方の西の空でも見え始める
- 12月17日(火)満月
- 12月19日(木)宵の東の空で、木星に月齢16.5の月が接近
- 12月22日(日) 2:11冬至 100万人のキャンドルナイト Seasons Without Borders?
- 12月25日(水)下弦
- 12月26日(木)未明の南東の空で、火星に月齢23.5の月が接近(火星の右に月)
- 12月27日(金)明け方の南東の空で、スピカに月齢24.5の月が接近
- 12月29日(日)明け方の南東の空で、土星に月齢26.5の月が離角約3度まで接近
双眼鏡、小望遠鏡のある人は†
- 月が下弦となる10月27日(日)頃から三日月となる11月6日(水)頃、次に下弦となる11月26日(火)頃から三日月となる12月5日(木)頃に星雲星団、天の川の見頃となります。
- ペルセウス座は、秋の天の川に浸っていますが、このあたりを双眼鏡で見ると、ペルセウス座を作る明るい星と天の川を作る細かい星がよいコントラストになって、川の真砂に浮かぶ宝石のような見え方となります。双眼鏡でこそ、最も美しく見える名所ですので、ぜひ、ごらん下さい。
- カシオペヤ座とペルセウス座の間に二重星団という散開星団があります。二つの散開星団がごく近くで隣り合っているので、二重星団と呼ばれています。双眼鏡で見ると、細かい星がぎゅっと集まったような感じに見えます。こちらも双眼鏡で見る名所の一つです。
- アンドロメダ座銀河は、我々の銀河の隣の銀河ですが、ちょうど、双眼鏡で見るのが最もよくわかります。ただし、非常に淡い対象ですので、秋の天の川が見えるような、透明度がよく暗い空でないと見ることができないでしょう。
- 双眼鏡で見ると微かで小さな綿埃のように見える球状星団で、みずがめ座のM2、ペガスス座のM15は、比較的見やすい対象です。挑戦してみてください。
※双眼鏡は、倍率6〜10倍で口径30〜50mmを推奨します。