*6月の星空 [#r9a38650]
(星図は6月15日午後8時30分頃の様子です)
#ref(Jun.jpg,nolink,6月の星空)
RIGHT:This chart was created with [[&ref(5月の星空/xplns.jpg,nolink,xplns);:http://www.astroarts.co.jp/products/xplns/index-j.html]].

今年は暑い日があったと思ったら肌寒い日があったりして,なんだか不安定な天気が続いているようです.そしていよいよ今月中には梅雨入りすることになるわけですが,天文ファンとしてはこの梅雨が早く終わってくれることを祈るばかりです(もっとも,「から梅雨」だったりすると水不足になるのでそうわがままは言ってられませんが).まぁ「梅雨の中休み」といわれる晴天の日の夜(雨が午前中にあがるとベスト!)には息を呑むほど綺麗な星空に会えますので,見逃さないようにしましょう!

だいぶ昼が長くなり,夕方遅い時刻になってもまだ空には明るさが残っていますが,太陽が沈んだらすぐ西の素荒を見てみましょう.まだ夕焼けが残っている空の中でひときわ明るく輝く星が見つかるはずです.「&color(blue){宵の明星};」&color(red,lightgrey){金星};の登場です.&color(red,lightgrey){金星};は9日に東方最大離角((太陽系内で地球の内側を回っている&color(red,lightgrey){水星};と&color(red,lightgrey){金星};(&color(blue){内惑星};と呼びます)は普段太陽に近くて見づらいので,太陽から東側に大きく離れて見える&color(red){東方最大離角};と西側に大きく離れて見える&color(red){西方最大離角};の時が見ごろになります.中でも,&color(red,lightgrey){金星};に限って言えば,&color(red){東方最大離角};の頃,夕暮れどきに西の空で明るく輝いて見えるのが&color(blue){宵の明星};,&color(red){西方最大離角};の頃,明け方の東の空で明るく輝いて見えるのが&color(blue){明けの明星};と呼ばれて昔から親しまれています.))を迎えます.その後は次第に高度が下がっていきますが,来月中旬くらいまでは充分に楽しめますから,機会があったら是非探してみてください.美しい夕焼けの中に金色に輝くその姿は息を呑むほどに美しく,美の女神「&color(red,lightgrey){ヴィーナス};」に相応しいと言えるでしょう.

さて,夜空です.日が沈み,空が暗くなったら,頭を思いっきり上に向けてみましょう.ややオレンジ色をした明るい星を見つけることができます.&color(red){うしかい座};の1等星,&color(blue){アークトゥルス};((この星の名前は“Arcturus”ですが,日本語表記が難しいらしく,書物によって“アークトゥルス”“アルクトゥールス”“アルクチュルス”等いろいろあります.))です.この星は全天で4番目に明るい恒星で,まだ空が明るくても見つけることができますので,是非挑戦してみてください.&color(red){うしかい座};は&color(blue){アークトゥルス};を頂点とした「&color(green){のし};」の形の星の並びです.&color(red){うしかい座};を見つけたら,その東にちょうど「&color(green){蝶ネクタイ};」の形の星の並びを探してください.勇者「&color(red){ヘルクレス};」((もともとこの英雄の名前はギリシャ神話中では“Πρακληζ”で「ヘ&color(red){ラ};クレス」に近い発音のようですが,星座の名前としてはこれのラテン語表記である“Hercules”が用いられ,「ヘ&color(red){ル};クレス」と発音されることが多いようです.))ですが,勇者というには暗い星ばかりでちょっと見つけにくい星座です.そして,「&color(green){のし};」の形の&color(red){うしかい座};と「&color(green){蝶ネクタイ};」の形の&color(red){ヘルクレス座};の間,たてにつぶした「&color(green){U};」の字の星の並びが見つかります.&color(red){かんむり座};です.この星の並びを見つけたら,[[先月>5月の星空]]ご紹介したようにその方向に手を伸ばしてみましょう.&color(red){かんむり座};の星たちがちょうど腕にまきつくように見え,そのうちの一つの星&color(blue){アルフェッカ};がよいアクセントになってくれます.&color(red){かんむり座};というより,「&color(green){うでかざり座};」がぴったりしますね.

//#ref(5月の星空/Jup_040221.jpg,right,wrap,around,nolink,ふれあいの里天文台で撮影した木星.本体に見える黒い点はガニメデの影)
//いよいよ「&color(red,lightgrey){木星};」が見ごろです.地球の11倍,太陽系最大の大きさを誇る惑星です.真夜中に見える天体としては&color(red,lightgrey){月};に次ぐ明るさで,夜空の中でひときわ明るい光を放つことからローマ神話の主神「&color(red,lightgrey){ユピテル};」の名前をとって「&color(red,lightgrey){ジュピター};((“Jupiter”はラテン語読みで「ユピテル」と読みますが,これを英語風に読めば「ジュピター」となるわけです.ちなみに,最近歌にもなっている“Jupiter”ですが,この曲もともとはイギリスの作曲家グスタフ・ホルストが作曲した組曲「惑星」の中の第4曲「木星」からとっています.機会があったら,こちらも是非聴いてみてくださいね.))」とよばれます.&color(red,lightgrey){木星};を望遠鏡で何度も見ていると,&color(red,lightgrey){木星};の周りにある小さな星たちがいつも違った場所に見えることに気づくでしょう.これは「&color(green){ガリレオ衛星};と呼ばれる&color(red,lightgrey){木星};の月たちで,地動説を唱えたガリレオ・ガリレイが発見したことからこの呼び名があります.時々は,写真のようにこの&color(green){ガリレオ衛星};が&color(red,lightgrey){木星};本体に影を落としていることがありますから,注意深く見てみましょう.

この季節は[[球状星団:http://universe.art.coocan.jp/deepsky/GlCl.html]]という種類の天体がたくさん見えます.これは100億歳を越えるような年老いた数千から数万個の星たちが文字通り「球状」に集まっている天体です.&color(red,lightgrey){木星};や&color(red,lightgrey){土星};のような派手さはなく,目が慣れないとただの&color(green){わたごみ};のようにしか見えないのですが,慣れてくれば無数の星たちが集まっている様子が見えるようになり,とても美しい眺めを楽しめますので,観望会の時など機会があったら是非リクエストしてください.


RIGHT:Y-Nakagawa


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